最後の挨拶

「南九州支部へ異動とする。」 7月3日、辞令交付なり。僕を熊本へ戻す命が下った。 ああ、ああ。終わってしまったのだ。僕は東京で仕事をするために、4年前上京してきた。その仕事が、遂に終わってしまった‥ この日、送別会が行われた。一次会は係の部屋の中…

I MISSED THE SHOCK

新宿歌舞伎町のはずれにあるゴールデン街。あかるい花園3番街に、Sというとあるバーがある。初めて訪れたのはちょうど今から1年前の、じめじめした梅雨の時期だったと思う。市ヶ谷に本社のある同業の知り合い某氏と飲んでいて、お互いに未だ未経験だったゴー…

イシマツとジロウチョウ

「ルドルフとイッパイアッテナ」みたいな題名だが、当の主役の猫たちは追々登場する。 今日は昼一から神保町へ赴いた。 神保町へはちょくちょく通っている。しかし神保町が本の町だというのに、古書店の中へ足を踏み入れることはそうそうなく、目当てはこの…

アール・ヌーヴォーの風雲児

国立新美術館でやっているアルフォンス・ミュシャ展に行ってきた。 この美術展は3月初頭から開かれていて、その頃から必ずや見に行こうと決めていたが、病気のごたごたで実現できずにいた。 僕はアニメオタクではないし、アニメをほとんど見ないが、好きなア…

カレーメモ

カレーが好きだと昔の日記に書いた。 しばらくの間にいくつかの店を開拓した。開拓した店の数を増やすことが食べる目的では無いが、その数が多くなるにつれ、どの店を訪れたかわからなくなってきたので、ここに書き留めることにする。以下のリストは、2014.8…

雪月花の時、最も友を思ふ

銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも 山上憶良の有名な万葉集の歌である。 銀も金も玉も、どんな宝であっても子供には敵わない、という親の思いは、千年以上昔の古い時代から変わらずに在り続けるものだ。 そしていつの時代にあっても、新たな生命の…

ケニーズの宴

半年振りにAとキャンプに行った。 場所は埼玉県飯能市。都内から車で2時間ほどである。前回に続き今回もレンタカーを借りた。13日は朝から小雨がぱらついていたが、飯能に近づいたあたりから本格的に降り始めた。 キャンプサイトの設営はかなり大変だった。A…

BLOWN UP CHILD

2週間ほど、訳あって熊本に帰省していた。 僕はこの「晩白柚東京譚」に暗い話題を書くことを極力避けてきた。4年の執筆のうち特に直近2年の傾向は顕著で、旅に出たとか美術を鑑賞したとか、文化的活動について記録したのがほとんどだった。それは、僅かなが…

男山、君の袖を濡らす

吐く息が煙草の煙のように白く濃い。凍てつく空気があちこちから顔の肌を刺す。ここは日本の最果て、ここは未だ見ぬ雪国。僕はオホーツクの流氷を見るため、北海道の網走にやって来ていた。生まれて初めて踏む北海道の大地。初めての地が札幌でも函館でもな…

残り1年でやることリスト(2017.2.26)

何ら確定してはいないが、僕が東京にいるのは残りほぼ1年だと思われる。東京を離れるまでにやっておきたいことをリスト化しておく。 ●インド一人旅2016年のシルバーウィークは飛石になっているので、そこでは行き辛い気がしている。2017年の正月か、ゴールデ…

イトシマオをもてなして

Hが会社の研修で6日間ほど東京に滞在することになった。そこで1月28・29日の土日は、「東京のどんなランドマークにもある程度行ったことがある」というHをもてなす、「晩白柚東京ツアー」を行った。 ●1月28日(土) 朝10時、品川駅に集合。築地市場へ移動して…

千里の道も一歩から

年が明けた。 今年は仕事の都合もあって、初めて実家に帰らなかった。元旦を家でだらだらと過ごすのも何かもったいなかったので、昼前から中央線に乗り、飯田橋付近にある「東京大神宮」に行った‥いや、行くのを神社の手前で断念した。神社の敷地を飛び出し…

メカラウロコ

友人Fと、日本武道館で行われたTHE YELLOW MONKEYのライブ「メカラ ウロコ・27」に行ってきた。 申年である2016年は、イエモンの再結成に沸いた年だった。忙殺されて、再結成について日記に書くことは一度もなかったが‥。夏前だっただろうか、再結成ライブが…

湯けむりにふすぼりもせぬ月の貌

12月17-18日、草津温泉へ行ってきた。半年振りの一人旅である。 昼過ぎ、新宿駅で駅弁を買った後、埼京線で赤羽駅へ。赤羽から特急「草津」に乗って約2時間半。草津温泉の最寄駅、長野原草津口駅に着く。途中まで北陸新幹線を使う手もあったが、僕はそれを選…

29歳になって

東京都美術館で開かれている「ゴッホとゴーギャン展」を見に行った。 2人は19世紀末に活躍したポスト印象派の画家。わずか2か月ではあるが、フランスのアルルで共同生活を送った。その時に描かれた「収穫」や「ゴーギャンの椅子」、ゴッホの死後、ゴーギャン…

餅は餅屋

キャンプに行ったという日記を時々書くことがある。仕事の都合もあって年に数回しか行けないが、「次回のキャンプはこういうことをしよう」と常日頃考えたり、キャンプ道具の店をウィンドウショッピングしたり、キャンプに関するブログをチェックしたりして…

秋の色

これを書いているのは12月11日である。10、11月は体調が優れず、アメリカ編を途中まで書いたところで筆を全く執れなくなってしまったが、Aと遠方へ遊びに出掛けたのが3回あり、必ず日記に書かねばと思っていた。いつかの日記で、朽ちていくものは美しいと書…

サンタヒルズの宴

12月13日にこれを書いている。11月5、6日は、Aと栃木県那須郡にあるキャンプ場「サンタヒルズ」へ行った。今回は自分で写真をほとんど撮っていないので、ここに揚げる写真はAから貰ったものになる。 8時半、僕の住む宿舎に集合。近くのガソリンスタンドでレ…

筑波山攻め

これを書いているのは12月31日。2016年も終わろうとしている。アメリカ編はすぐに完結できるものではないのでともかくとして、Aと行った3旅行は年内に書いておかねばならない。その3旅行も今回の筑波山登山で完結である。正直言って細かい部分は忘れてしまっ…

帰国

最終日である。7時半に目覚まし時計をかけていたのに、寝坊して9時50分に起きてしまった。急いで身支度をする。シャワーを浴びていると、最後の最後でお湯が全く出なくなった。最後の最後までよくわからないホテルだった。11時にチェックアウト。 まずは昨夜…

Say hello to Griffith

朝6時20分、起床。暗がりの中、二段ベッドの上で服を着替え、早々に宿を発った。朝のサンフランシスコは少し寒い。朝焼けが綺麗である。30分ほど歩いてBARTのPowell St.駅に着いた。BARTの乗り方にも慣れたものだ。1時間でサンフランシスコ空港に到着した。 …

ヨセミテの精霊たち

スマホの目覚まし時計を朝5時45分にかけていた。同部屋の皆に申し訳なかった。この日はヨセミテ国立公園へ行く現地ツアーに申し込んでいて、7時に近くのホテルのロビーで待ち合わせをしているのである。共同シャワールームでシャワーを浴び、トイレのコンセ…

坂と海と浮浪者と

朝7時半に起床。1時間ほどで身支度を終え、部屋を出た。エクスカリバーとは、ここでお別れである。 次の目的地はサンフランシスコ。マッカラン空港を11時半に飛び立つ便に乗る予定なので、9時半には空港に着きたい。バス・Deuceと#109を乗り継いで、無事に空…

大峡谷

4時45分の目覚まし時計で起きた。今日は朝早くから現地ツアーに合流して、グランドキャニオンに行くことになっている。シャワーを浴び、6時には部屋を出て、チェックアウト。売店でリプトン・グリーンティーというペットボトル飲料を3ドルで買った。グリーン…

盤の上で玉は踊る

昨日の日記を読み返すと、思いのほか面白くなくてうんざりする。パリの時もそうだったが、僕は旅行中、時間を見つけては自分の行動をメモしていた。帰国して1か月が経ち、記憶が薄れている今となっては、そのメモを頼りに日記を書くしかないわけだが、メモに…

出国

9月17日から25日まで、アメリカ西海岸沿いを旅してきた。これを書いているのは10月24日。記憶が薄れつつあるが、今日から可能な限り毎日書き、1週間程度で完結させるつもりだ。頑張る、というのもおかしな話だが、頑張って書いていこう。 人生で2回目の海外…

新天地へ

ようやくひと通り荷詰めが終わったので日記を書く。明日から6泊8日でアメリカへ一人旅に出る。 今回の旅で達成したいこと、やり遂げたいことは次の5点である。 1.世界遺産であるグランドキャニオン国立公園へ行く 2.世界遺産であるヨセミテ国立公園へ行き、…

おつかれさまの国

怒涛の仕事がようやく一段落したので日記を書く。8月の残業時間は170時間余、過去の実績と比べても突出して多いというわけではない。自分としても、仕事が辛いと感じたことはあまり無かったはずだが、8月頭の日記を見る限り、割と精神的に不安定だったのかも…

百代の過客

7月8日から通常業務に戻り、慌ただしく日々は過ぎる。深夜の帰宅が続き、カレンダーを見る暇も無いまま、あっという間に8月である。僕の東京生活はこの7月をもって4年目に突入した。この日記「晩白柚東京譚」も書き始めてから4年、一つの節目を迎えた。これ…

嵐の前の

日韓国交正常化50周年を記念して、日本と韓国それぞれの国宝である半跏思惟像を展示する催しが、東京国立博物館で開かれていた。開催期間は6/21から7/10までの僅か2週間とちょっとである。Aを誘って見に行くことにした。 夕方前に上野駅でAと合流した。誘わ…

蕉風徘徊(後)

朝9時、一関駅を出発しようとするも、平泉へ向かう次の列車は10時過ぎにしか来ないと知る。今日は訪れたい場所が多数あるので、こんなところで立ち往生していられない。列車賃200円の10倍もの運賃を払う必要があるが、目を瞑ってタクシーに乗り込んだ。 タク…

蕉風徘徊(前)

残り一年でやることリストにも書いていた「平泉への旅」へ、6/18~19に行ってきた。 今回の旅に出るにあたって頭に浮かんだのは、松尾芭蕉と「奥の細道」である。僕は平泉へ行く途中で、日本三景の一つである宮城県・松島にも訪れることにしていた。東京を出…

ルネサンスを超えた男

仕事のあと、国立西洋美術館に「カラヴァッジョ展」を観に行った。カラヴァッジョ展の開催は6/12までだが、11~12日は職場の旅行会が予定されていて観に行くことができないので、どうしてもこの週末に行く必要があった。国立西洋美術館は金曜日だけ夜8時まで…

ヴィクトリアマイル

後輩4人に連れられ、東京競馬場へ競馬を見に行った。競馬というものを初めて生で見た。 1000円ほどしか賭けず、結局500円のマイナスになった。一発当ててやろうなどとは最初から思っていなかったので、僅かしか賭けていなかったわけだが、僕と同じく初めて競…

Impression 2

国立新美術館で開催されているルノワール展に行ってきた。 ルノワールの作品はその多くがオルセー美術館に所蔵されている。自分も昨年のオルセーでその作品群を観ているはずだが、あまり覚えていない‥。今回の展覧会においては、「ムーラン・ド・ラ・ギャレ…

熊本地震その後

4日、東京へ戻ってきた。 熊本にいた約1週間は、部屋の片付けや被災ごみの搬出(家の近くのごみ捨て場は、既に他の住民が出した被災ごみで溢れていて、とても我が家のものを出せる状態ではなかった)を行った。 写真は熊本市の東部環境工場に持ち込まれてい…

熊本地震

ゴールデンウィークを利用して熊本に帰省している。 2週間前に発生した大地震は熊本に大きな打撃を与えた。まさか故郷を阪神・淡路大震災級の地震が襲うとは、思っても見なかった。 1回目の地震は4月14日(木)21時半頃に発生した。僕は前日から体調を崩し、帰…

春のあけぼの

新年度が始まった。 3か月前、新年が始まるにあたっては特に日記を書いていなかったので、今回改めて書いておきたい。昨年度は自らを揺さぶるような体験が多々あって、「成長」と書くのは少し憚られるところだが精神的な面での大きなターニングポイントだっ…

花は眠らない

六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開かれている「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」に行ってきた。 そういえば、2年前のちょうどこの時期にも、同期数人とこの美術館を訪れたことがあった。その時に見たのはアン…

葉隠

「僕は雑草」という題で、ちょうど2年前の3月に日記を書いた。吉井和哉の曲「CALL ME」の詞にある「雑草みたいにさりげなくアスファルトを突き破りたい」というフレーズに思うところがあっての題であった。 この仕事を始めて、特に東京の職場に来てから、切…

浦沢直樹展

世田谷文学館で開かれている「浦沢直樹展」に行った。 浦沢直樹の作品は「MONSTER」と「20世紀少年」を読んだことがある。「20世紀少年」は最後の巻まで集めておらず、連載当時にスピリッツで立ち読みしていただけなので、結末が曖昧だが‥。「MONSTER」は、…

古都の冬

2月6、7日の二日間で京都へ行った。 京都は昨年4月振りである。前回の宿で、女将さんから「冬の京都も歩いてみてください」と言われたのを、あれからずっと心に留めていて、2月になったら行こうと決めていた。 6日は朝11時ごろに東京駅から新幹線に乗った。…

28歳になって

丸々2か月も放置してしまった。この2か月は仕事が死ぬほど忙しく、特に1月に入ってからの3週間は土日も休まず毎日出勤し、職場の椅子の上で寝ることも何度かあった。ようやく片付いてきたので、久々に日記を書く。この間、28歳になった。 誕生日を迎えての日…

歌瀬の宴

Hと秋のキャンプをするため、3連休を利用して熊本に帰省した。 10月19日にHが上京して飲んだ折、「やろうやろうと言っている秋キャンプを、そろそろ実行しよう」という話になり、11月半ばのこの3連休に白羽の矢が立ったのである。 出発日の11月21日、僕は成…

鎌倉探訪

今日は鎌倉へ行ってきた。 東京に2年半住んでいながら、京都が好きだと言っていながら、身近にある古都に行ったことがなかった。行こう行こうとして、何かとタイミングを失っていた。何故今日なのか、自分にもよくわからないが、ふと思い立った。 昨日の夜、…

Impression

9月半ばから東京都美術館でやっているモネ展に行ってきた。 モネの作品を観るのは、フランスのオルセー美術館ぶりだ。「印象・日の出」や「睡蓮」などを見た。モネは光を表現するのが巧くて、明るい印象を受ける作品が多く、見ていてなんとなく晴れやかな気…

帰国

いよいよパリを発つ日がやってきた。 8時に起きて身支度をし、9時にチェックアウト。この2日間に飲んだハイネケン2本とヴィッテル1本の代金、そして例のシティタックスを支払った。受付のおじさんは最後まで良い人だった。メルシーボークー、と笑顔で送り出…

麗しのミュゼ・デュ・ルーヴル

8時半に起き、10時ごろにルーヴル美術館に着いた。火曜日に入れなかったルーヴルの中へ、ようやく足を踏み入れることができた。 ルーヴル美術館は、展示物それぞれのテーマに従って3つの棟(翼)に分かれていて、ドゥノン翼、シュリー翼、リシュリュー翼があ…

シティ・タックスとチャーシュー麺

朝7時、修道院の鐘で目が覚めた。 昨日、修道院でポストカードを買っていた。モンサンミッシェル内にある郵便局から手紙を出すと、島の形を模した独特の消印が押されると聞き、数名に送ることにしていたのである。日本人男性からもらった味噌汁を飲みながら…

モン・サン・ミッシェル

フランス3日目である。5泊の予定なので、この日が折り返し地点になる。 この日、一旦パリを離れ、モン・サン・ミッシェルを訪れることにしていた。モンサンミッシェルへはTGVやバスを乗り継いで行くことになる。TGVは10時8分にモンパルナス駅から発車する。T…