帰国

いよいよパリを発つ日がやってきた。

8時に起きて身支度をし、9時にチェックアウト。この2日間に飲んだハイネケン2本とヴィッテル1本の代金、そして例のシティタックスを支払った。受付のおじさんは最後まで良い人だった。メルシーボークー、と笑顔で送り出してくれた。

 ヴァグラム駅からメトロを3号線、2号線と乗り継いでラ・シャペル駅へ行き、パリ北駅まで歩いてRERのB線に乗る。一日目にドゴール空港からパリ市内へ来た時は、17ユーロのバスを使ったが、RERを使えば10ユーロで空港へ行くことができる。治安が悪いRER・B線だが値段を考えると気にしていられない。11時前にドゴール空港へ到着。

それからチェックイン、出国手続き、手荷物検査を淡々と済ませ、11時40分にはほぼ全ての準備が完了した。往路と同じタイ国際航空である。出発は13時40分なので、時間にかなり余裕があった。金が無かったが腹が減って我慢できず、出発ゲート隣にあるカフェでカプチーノとサンドイッチを食べてしまった。合わせて10ユーロ。現金を持っていなかったのでカードで払う始末であった。

 13時50分、離陸。1時間ほどして早速飯が出された。チキンとビーフを選ぶことができ、ビーフをお願いする。ビーフストロガノフ、パン、チーズ、マカロン等。相変わらず美味かった。食後の7、8時間はひたすら「山の音」を読んでいたが疲れてしまって、タッチパネルで映画「暗殺教室」を見たりした。お粗末すぎて絶句する内容であった。しかし日本で今年上映された映画を早くも機内で見ることができるとは、この航空会社は侮れない。着陸1時間前に再び飯(朝食だろうか)が出た。クロワッサン、ベーコンエッグ、ハッシュドポテト、ヨーグルト、フルーツ。

バンコクには翌27日の朝6時に到着した。慌ただしくも1時間ほどした7時35分に成田空港行きの便で出発。先ほどの便とは違って、途端に周りの乗客に日本人が多くなった。CAも日本人が非常に多い。安心感とともに、何か少しつまらなくも感じた。出発早々またも飯が出たが、先の飯から時間がさほど空いていないので食欲が出ない。メニューは酢豚だったと思う。米はパサパサしたタイ米だったが割と美味かった。

この機内でもひたすら暇を持て余した。「山の音」も読み終わり、映画を見る気力も無く、持っていたipodで音楽を聞いてボーッとしていた。着陸1時間前に最後の軽食のようなものが出されたが、とにかく腹が張って苦しく、ほとんど手をつけなかった。

 

復路の2日間に関して、ここまでひたすら事実を書き殴ってしまった。この8日間、暇を見つけては起きた出来事をメモ帳に記録していたので、今回の日記をかなり具体的に書くことができた。ただ、期待と興奮に満ちた往路の2日間と違って、パリを出てからの復路のことは書くほどに蛇足に感じてしまって、最早書く気が起きない。そもそもメモが取られていない。

 

15時45分、成田空港到着。現実に帰ってきた。この8日間、自分は外国にいたのだ、その名の通り違う世界にいたのだ。現実と違う世界、僕は夢の中にいたんじゃないかなどと変なことを思いながら、帰りの電車に乗り込んだ。