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帰国

最終日である。7時半に目覚まし時計をかけていたのに、寝坊して9時50分に起きてしまった。急いで身支度をする。シャワーを浴びていると、最後の最後でお湯が全く出なくなった。最後の最後までよくわからないホテルだった。11時にチェックアウト。

まずは昨夜書いた手紙を出すことから始めなければならない。日本人街「リトルトーキョー」の近くに郵便局があると知り、そこで手紙を出すことにした。が、建物の前について驚いた。合同庁舎(?)のような、役所のような建物で、入口で厳重な手荷物検査が行われている。ホテルをチェックアウトした後で、全ての荷物を持っている状態の僕としては、検査を通過するのはかなり面倒に思われた。しかしせっかく書いた手紙を出さないわけにもいかず、意を決して突入。と、やはり捕まった。

リュックの中を全て見せるように言われ、ドライヤーやらシェーバーやら何から何まで取り出された。しまいには、予備の財布についていたウォレットチェーンが危険だと言われ、チェーンを処分してからまた来てくださいと、建物の外へ強制的に出されてしまった。僕も半ばヤケになり、捨てればいいんだろ、捨てれば、と道端のゴミ箱にチェーンを捨て、もう一度検査場へ。今度はどうにか通過できた。

郵便局のおじさんは親切だった。「I'd like to mail these letters to Japan!」というメモを見せると、笑顔で対応してくれた。

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郵便局を出、ついでにリトルトーキョーを散策することにした。日本人街らしく、あちこちに日本語の看板が見える。しばらく歩いていると、「山水亭ラーメン」という看板があるではないか。これはもしや‥と入ってみる。店員はアジア顔だが、「いらっしゃいませ」の発音からして日本人ではない。「stew pork ramen」とサッポロビールを注文した。ラーメンはトンコツ味だが、あまり美味くはない。麺はノンフライ麺を食べているようで、チャーシューは臭い。熊本の山水亭とは全く関係がないようだった。

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そしてこの旅の最後の目的地、ハリウッドを目指す。メトロのLittle Tokyo駅からゴールドラインに乗り、Union駅でレッドラインに乗り換えてHollywood/Highland駅へ。ハリウッドと言っても、生の撮影現場を訪れることができるわけではなく、「チャイニーズシアター」や「エジプシャンシアター」といった映画館が数多く立ち並ぶエリアが、一つの観光地となっているのである。

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しかし、英語がわからないので映画を見るわけにも行かず、ハイランドの高い所からハリウッドサインを写真に撮ってみたり、チャイニーズシアター前の床に並べられた映画スターの手形・足形を見たり、少し歩いて“You Are the Star”という壁画を見たりした。あわよくばどこかでお土産を買いたいと思っていたが、結局それらしいものも見つからず、15時には空港へ向かうメトロへ乗り込んだ。

17時過ぎ、ロス空港着。音楽を聞きながら18時45分のチェックイン開始を待つ。定刻にチェックインカウンターへ行くと、既に長蛇の列(中国人)ができていた。チェックイン、手荷物検査にかなりの時間を要し、2時間近くかかってようやく開放された。

搭乗ゲートの前でひたすら出発を待ち、0時に飛行機は離陸。時間も時間なので、当然眠気が襲ってきて、ウトウトしていた。飲み物が配られ、ビールを貰ったら、すぐに眠ってしまった。1時ごろ、飯が配られた(1時に一体何の飯なのだろうか?体内時計が完全に狂い始めた)ようだが僕は寝ていたので、気づけば勝手にビーフのプレートが置かれていた。既にまわりの人達は食べ終えていて、僕も急いで食べたが、またすぐに眠りに落ちてしまった。

それから15時間もフライトは続いた。そのほとんどは寝ていたが、10時間もするといい加減目が覚めて、備え付けのタッチパネルで映画「エヴェレスト~神々の山嶺~」を観た。「神々の山嶺」の漫画を僕は持っていて、この映画「エヴェレスト」も映画館に観に行ったことがある。その時も「お粗末だなぁ」という感想しかなかったが、改めて観てもやはり、お粗末だった。

離陸後13時間ほどで朝飯(?もはや何の飯かわからない)が出た。これまでの機内食の中で一番不味かった。卵焼き・ベーコン・ポテト・フルーツだったが、ポテトなどは廃油でもぶっかけたのかというような味だった。何やかんやで、広州時間で朝7時前、広州白雲国際空港に着陸した。

トランジットの手続きを終え、搭乗ゲートへ。トイレ(大)をかなり長い間我慢していたので、ゲート前のトイレに行ったが、洗面器や便器がTOTO製なのを見て、少し誇らしくなった。

 

‥と、ここで旅の"メモ”は終わっている。この後は、広州白雲空港を発ち、5時間ほどのフライトを経て、9月25日(日)の昼過ぎに羽田空港へ着いた‥と記憶しているが、メモには残っていない。これを書いているのは2017年2月5日。アメリカ一人旅のうちサンフランシスコ編「坂と海と浮浪者と」「ヨセミテの精霊たち」、ロサンゼルス編「Say hello to Griffith」「帰国」の4本は、全て今日、旅の中で書き続けたメモを頼りに書き起こしたものである。昨年秋に執筆を中断してから、書かねば、書かねばとずっと気を揉んでばかりだったが、今回、ようやく区切りを付けることができた。

改めてこの旅を振り返るに、アメリカという国は実に豪快だ。この国が持つ自然のスケールは桁が違うし、出て来る料理もまたでかい。はたまた、今日の日本でカジノを導入するか否かで騒いでいる一方、アメリカでは今日も誰かが一攫千金に笑い、その逆も然り‥。

そのスケールのでかさ、豪快さを否応なく素晴らしいと認めるものでもない。恰幅の良い人達がカツカツと歩いているフィナンシャル・ディストリクト、そこから一歩出た途端に現れる、臭気漂う浮浪者の溜まり場‥そんな風景をサンフランシスコで見た。あの風景は、資本主義国家たるアメリカの縮図のようだった。

何はともあれ、日本に帰ってきて、自分はご飯と味噌汁が食える。それで十分だ‥そんな風に思うのである。