アール・ヌーヴォーの風雲児

国立新美術館でやっているアルフォンス・ミュシャ展に行ってきた。

この美術展は3月初頭から開かれていて、その頃から必ずや見に行こうと決めていたが、病気のごたごたで実現できずにいた。

僕はアニメオタクではないし、アニメをほとんど見ないが、好きなアニメーターに後藤圭二という方がいる(高校時代、大学時代の日記にも時々名前が出てきている)。後藤さんが敬愛する絵描きの一人として、ミュシャの名前は高校生の頃から知っていた。じっくりと作品を見るのは、今回が初めてである。

今回の美術展の目玉となるのは、チェコ国外では世界初公開となる「スラブ叙事詩」だ。6メートル×8メートルに及ぶ巨大な作品が、20作品も連なって公開されるのである。そのスケールと迫力たるや、今まで僕が見た(注:僕はそれほど美術品を多く鑑賞したわけではない)どの作品にも及ばない、まさに圧巻の一言である。

ただ僕個人としては、「スラブ叙事詩」よりも、ミュシャが女優サラ・ベルナールと彼女の劇団のために制作した舞台のポスターのデザインに惹かれた。このデザインは1900年頃に日本の大衆紙「明星」にも挿絵として掲載されたらしい。そういったどことなく感じられるレトロな雰囲気が、僕の感性に合致しているのかもしれない。

アルフォンス・ミュシャ、僕の好きな美術家の一人に加えられた(こうして書くと美術展に行く度に美術家を好きになっているようである)。