ルネサンスを超えた男

仕事のあと、国立西洋美術館に「カラヴァッジョ展」を観に行った。カラヴァッジョ展の開催は6/12までだが、11~12日は職場の旅行会が予定されていて観に行くことができないので、どうしてもこの週末に行く必要があった。国立西洋美術館は金曜日だけ夜8時まで開館していて、ちょうどよい機会だった。

カラヴァッジョは16世紀末~17世紀初めに活躍したイタリアの画家。3月に観たレンブラントフェルメールより、時期的にわずかに前に登場した画家だが、彼らと同じくバロック様式の絵画を描いた人物である。

今回の展覧会では、世界初公開となる「法悦のマグダラのマリア」や、日本初公開「バッカス」「トカゲに噛まれる少年」等々が出展されていた。彼の作品は動的で躍動感に溢れ、ドラマの一瞬を切り取ったような印象を受ける。強く表現された明暗も特徴的である。画面全体的に真っ暗な印象だが、スポットライトを当てたようにある一点だけ明るく輝いている。

カラヴァッジョ自身は非常に粗暴な人物だったらしく、35歳ごろには殺人を犯してローマを追放されている。大画家が殺人者だったというのもなかなか聞いたことのない話だが、そういった複雑な経験が彼の作品に影響を与えているのは確かだと思う。逃亡中に描いたとされる「エマオの晩餐」にはどこか寂しさが漂っていて、心を打つものがあった。

常設展も覗いた。モネの作品がかなりの数所蔵されていて非常に驚いた。とある一角は完全にモネのためのスペースになっていた。お約束とも言える「睡蓮」も展示されていた。また、ルノワールの作品も数点あった。「アルジェリア風のパリの女たち」の優しい女性の表情に惹き込まれた。